出典:『Twenty Four Game Poems』収録、およびGizmet Game Poems「Game Poem 5」http://gamepoems.gizmet.com/2010/02/game-poem-5-everything-you-do-is-stupid/
訳:django
プレイヤーたちは集まり、そのうち1人がタイマーを15分にセットする。タイマーがスタートしたら、セットした人以外のプレイヤーの誰かは、そのタイマーを使うことがどれほど馬鹿げたことなのかを語らなくてはならない。キッチンタイマーが使用されたなら、今は21世紀であり、もっとデジタルな物があるだろうと指摘し、アイフォンが使われたなら、いかにも流行かぶれの選択で、アップルがどれほど下らないかをあげつらう。とにかくなんであれ、それは愚かなことだと相手に知らせなくてはならない。タイマーをセットしたプレイヤーは、自分のしたことは馬鹿げていたと口頭で認め、そんなタイマーをセットするのは馬鹿だ、と主張した人に全面的に賛成する。
そうしたタイマーをセットすることの馬鹿らしさが受け入れられた後、本格的にゲームは開始される。タイマーをセットした人に、そのようなタイマーをセットすることがいかに馬鹿げているかを語った人は、できる限り間を開けず、自身の退屈な一日を語り始める。するとすぐにも、その人の日々の行いの何かを馬鹿らしいと訴えたくなる――あなたたちが行うことはすべて馬鹿げているのだから、その衝動はいとも容易に得られる――だろう。あなたは、なぜそれが愚かなことなのか、そしてそれをよりよくできる方法や、それをするべきではなかった理由を的確に述べなくてはならない。これは、それが愚かなわけを微に入り細を穿って語る必要はなく、大雑把に却下の意を示す(「まあ、君がどう歯を磨くかは知らない、ぱっと思い浮かばないけどさ」とか言いつつ)か、そもそもそんなことをするのは無意味だと声を上げるだけでもよい。
「なんて馬鹿らしい。電動歯ブラシを持ってないの? ヒッピーか何かなの?」
「マジで、オーガニックの歯磨き粉を使ってないの? どうしてそんなアホなまねを? 自分の星の巡りを呪ったほうがいいね」
「毎日歯を磨くって馬鹿馬鹿しいだろ。人類は歯を磨くことなく、何千年も存続したんだからな!」
誰かが、他の人が日頃行っていることを馬鹿だ―あなたたちが行うことはすべて馬鹿げているのだから、実際にそうなのだ――と指摘したら、その指摘した人は自分の一日を、前の人が語った事柄の時点から話し始める。直前が歯磨きの話(「メーカーを儲けさせてるだけって、わかってやってる?」)だったとしたら、その馬鹿さ加減を指摘した人は、シャワー(「そのために早起きするのかよ――夜、風呂に入ったばかりだってのに」)について、または朝食(「自分でコーヒーを淹れる? なんだそれ、スタバに行けよ!」)について、あるいは車での通勤(「まだ車乗ってんの? ガス代が馬鹿にならねえよ。オマエ、今はどこでも自転車だろうが」)について語り出す。
あなたは、その人がしたことは愚かだ――あなたたちのすることは*すべて*馬鹿げているということを思い出そう――と当の本人に告げる時、その内容や言い方は真面目でも、ハチャメチャでも、根拠十分でも、あるいは薄弱でも、まったくかまわない。ルールはとにかく、話から馬鹿なことを選び、それは馬鹿だと告げ、なぜ馬鹿なのかを述べ、しかる後に自分の馬鹿げた一日を語り始めるというだけである。また、相手が何を、どうしたのが馬鹿げているのかを指摘するようにし、その語られた行いにどれほど腹が立ったとしても、相手自身を馬鹿だとは言ってはいけない。ここで求められているのは、相手のとった行動の欠点を示すことであって、相手自身が余人に比して馬鹿だと主張することではないのだ。
15分後、鳴ったタイマーをオフにし、必要があれば、まだ途中になっている話を続け、その馬鹿らしさの指摘までを終え、区切りのよいところでプレイを停止する。話が終わって一瞬の後、誰かが「うわ、なんて馬鹿なゲームだ」と口にする。そして、みんな何か他のことをしに行く。