2015年1月24日土曜日

【創作】リプライでアドバイス

作者:中森白狼(SHIRO_DATURA_NAKAMORI)
■概要
 プレイヤーには今、軽い悩み事があります。決して深刻ではないのですが、それをSNSに投稿します。
 見知らぬ他人から、あなたの悩み事にいてのアドバイスがあります。
 そのアドバイスをみた別の人からもおせっかいなアドバイスがありますが、その人には最初の悩み事は見えません。
 そうやって無責任なアドバイスを繰り返して楽しむポエムです。
■人数
 4~10人
■用具
・大きめの付箋紙(ポストイット)
※できれば人数分のカラーバリエーションがあると可。1色でもOK
・筆記用具
■プレイ
0.各人は自分の色の付箋紙(色のバリエーションがなければ一色でも可)と筆記用具を用意します。プレイ時間を設定します。初めて遊ぶ場合は、参加人数×3~5分が適当でしょう。
1.最初のターンが開始されたら、付箋紙に、自分が抱えている軽い悩み事を書きます。最後には、自分の名前を書きます。このとき、付箋紙の端まで文字を書かないように気をつけましょう。また悩み事は、3行以内で終わる簡単なものにしてください。
例)
・僕には恋人ができません。どうしたらいいでしょうか? 一姫二太郎
・明日、試験なのに全然勉強できてない。どうしたらいい? メリー・ジェーン
・スマホをトイレに落として電源が入らない。だれか直し方を教えて。 スティーブ・J
・宇宙の端っこはどうなってるんだ? これを考え出すと夜も眠れない。助けてくれ! ガガー・リン
2.付箋紙に悩み事を書いたら、テーブルの中央に表を向けて提出します(最初のターン終わり)。
3.次のターンが始まったら、テーブルの中央にある自分の悩み事以外が書かれた付箋紙を選び手元に置きます。このとき、色のバリエーションがあると、選ぶときに簡単に自分の悩み事かどうかを見極めることができます。
4.受け取った付箋紙の内容を確認したら、自分の付箋紙にその悩み事についてのアドバイスを書きます。始まりは、悩み事を書いた○○さんへのアドバイスだとわかるように、@○○と書きます。そして最後には、自分の署名を書きます。このとき、元の悩み事に書かれているキーワードを使ってはいけません。
例)
「僕には恋人ができません。どうしたらいいでしょうか? 一姫二太郎」→「@一姫二太郎 私の占いによると今年中にあなたの願いは叶うと出てるわ。 アマンダ・D」
5.アドバイスを書いた付箋紙を悩み事の書いてある付箋紙の上に貼ります。正確に四隅を合わせる必要はありませんが、下の文章が読めないように丁寧に貼りましょう。
6.その重なった付箋紙を、テーブルの中央に提出します(2番目のターン終わり)
7.以下同様に、付箋紙の束を拾ってきては、アドバイスを書いた付箋紙をどんどん上に貼り付けていきます。このとき、気をつけなくてならないのは、自分の悩み事から端を発した付箋紙の束にはアドバイスをしてはいけないということです。
例)
「@一姫二太郎 私の占いによると今年中にあなたの願いは叶うと出てるわ。 アマンダ・D」→「@一姫二太郎 よかったじゃないか一姫二太郎。でも残念なことに、君の命は明日尽きると俺の預言書には書いてあるぜ。 ノストラダムス十三世」
8.偶然にも手を伸ばした付箋紙の束が、自分の悩み事へのアドバイスの束だった場合は、それにはアドバイスをせず、新たな付箋紙に悩み事を書くことができます。

9.こうして決められた時間が来たら、プレイを終了します。その時になって初めて、自分へのアドバイスを受け取り、それらのアドバイスを読むことができます。


※PDFファイルは→こらち
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2015年1月22日木曜日

【和訳】三老人 Three old men

作者:Marc Majcher
出典:『Twenty Four Game Poems』収録、およびGizmet Game Poems「Game Poem 3」http://gamepoems.gizmet.com/2010/02/game-poem-3-three-old-men/
訳:django

 このゲームは3人でプレイする。各プレイヤーは高齢者住宅地に居住する3人の老人――チャールズ、ピーターそしてマイケル――の誰かに扮する。この3人はそれぞれが、他の2人が死ねばいいと思っている。
(※訳注 高齢者住宅地:retirement community、高齢者/退職者用の大住宅地域。現在のアメリカのそれは、およそ55歳以上の“自立して元気に生活できる”人々を対象としており、日本人の考える養護・介護施設的なものとは異なっている)

 最年長の者から自分がどの老人に扮し、描き出すのかを決める。チャールズは裕福で、殺意を自身に代わって実現する第三者に対価を支払うことを惜しまない。ピーターは重いステッキを手に、こいつで宿敵の頭蓋骨をガツンと陥没させるのを夢見ている。マイケルはポケットに直刃カミソリを忍ばせ、他の2人の喉にそれを走らせるのを妄想する。彼らはそのすべての生死の対決において、また、生死の対決においてのみ、チャールズはピーターに、ピーターはマイケルに、そしてマイケルはチャールズに勝利する。

 チャールズ、ピーター、マイケルの3人は少年時代から付き合いがあり、多くの時間をともに過ごしてきた。そして現在、三老人は毎日、座り込んで不平を言い合っている。彼らは不満をぶつける――自身の健康、女性、天気、政治、地域の住人たち、税金、彼らの子供たち、他の人種や社会階級の人々へ。老人たちは互いに対してもケチをつけるが、彼らがそうするのは特に、他の2人が自分に対して過ちを犯したと感じる経験があったからである。

 まず、チャールズを選んだプレイヤーが手始めに、他の2人のどちらかに、自分を悩ませ、または侮辱し、あるいは傷つけたことがあったと思い出させる。これは借りた金を返済しない、車で彼の義理の娘をひいた、ランチの時に最後の良い席を独り占めした等、いろいろなことがありえる。些細なことでも、重大なことでもかまわない。が、当人にとっては苦々しく、本当に不満なことでなくてはならない。論難された者は弁明するにせよ、しないにせよ、その後すぐに他の2人のどちらかを指名して、何ゆえに相手から気分を害されたのかを、先と同様に申し立てなくてはならない。そして非難された者は再び、他の誰かに対して不平を漏らし……と順に回し続ける。この相手への告発の度合いは、ことの重大性が前より増すようにしなくてはならない。ピーターの白いパンツにチャールズがグレープジュースをこぼしたことは、ピーターが戦地でドイツ軍と戦っている間に、マイケルが彼の最初の妻と寝ていたという事実よりは、客観的には悪くないかもしれない。が、とにかくパンツが大事だということもありうる。

 そんなエスカレートする告発の円環が、軌道修正されるケースが2つある。

 第一は、告発がいき過ぎていると感じられた時。もはや一線を超える他に道はないというほど深く傷つけられた際には、どのプレイヤーも立ち上がって「クソが! もうたくさんだ!」と怒鳴ることでそれを示せる。怒りを伝えたプレイヤーは、どのようにその恥知らずなクズ野郎の息の根を止めるつもりかを述べることで、生死の対決を開始する。攻撃された側はこれを聞き、上記の規則――マイケルはチャールズを、ピーターはマイケルを、チャールズはピーターを殺す――を思い出し、対決の結果を説明する。

 こうして1人が死んだ後、残りの2人は次に何をすべきかを决定する前に、いったん小休止して顔を見合わせ、互いに考えなくてはならない。一方が他方と対決することを望んだら、決着の時である。対決の結果、ただ1人が生き残るとその者が勝者となり、幕が引かれ暗転する前に、対決後に何が起きたのかを1、2文で描写することができる。

 第二は、告発の堂々巡りの中でプレイヤーが以下を選択した時である。告発された時に、他の2人のどちらかに非難の矛先を向けるのではなく、単純に何か他のものに対して文句を言うことにする。今年は去年よりも寒くて関節が痛む、生活保護を受けているという女についてのニュース記事を読んだか? 私の誕生日からひと月は経つが、あの性悪の孫はまだ電話もよこさない。このように告発に対して誰かを告発するのではなく、一般的な不満が挙げられた時には、他の2人は直前の告発に基づく反応(「ハッ! トランプで友人相手でもインチキするような、老いぼれたクズの家に誰が来るもんか!」)を返すか、あるいは同様に一般的な不満を口にすることでプレイを続行できる。これは先の不満に同調するかたちでも、まったく別の話題でも、どちらでもかまわない。

 三老人が1人残らず他の誰も告発せず、一般的な不満を挙げたなら、ゲームは終了する。老人はひとりひとり順に遠くを見ては「そうだな」と告げなくてはならない。そして彼らは歩み去り、次の日にはまた再び集まる。


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2015年1月8日木曜日

【和訳】光より遅く Slower than light

作者:Marc Majcher
出典:『Twenty Four Game Poems』収録、およびGizmet Game Poems「Game Poem 6」 http://gamepoems.gizmet.com/2010/02/game-poem-6-slower-than-light/
訳:django


 プレイヤーは3人から5人。それぞれが遠く離れゆく、長い旅路につく。あなたたちはまだ通信可能だ。が、旅を続ければ相互間の距離は長くなり、旅をするほどメッセージのやり取りにはより多くの時間がかかるようになる。それでもなお、あなたたちはメッセージを送り続ける――その繋がりを維持するために。

 まず、あなたたちがどんな旅をしているのかを相談して決める。銀のロケットに乗って深宇宙へと発進したのか、古い帆船で大海原を探検しているのか、キャラバンを引き連れ未知の国を横断するのか。その旅が何であれ、各人は個別に分離されており、他の人との接点は相互に送る簡潔な文字通信のみである。

 各人は何枚かのメモ用紙、もしくはインデックスカード、そして筆記用具を用意する。あなたは紙を1枚取り、友人たちがどれほど遠くにいるのかを記録するために手元に取っておく。紙には他のプレイヤーの名前を記し、1人ひとりのスペースを線で区切る。これはあなたの通信記録になる。

 次にメッセージを送る相手を1人選び、通信記録の名前のそばにハッシュ記号(♯)をつけ、新たな紙を1枚取って、およそ30秒で相手に短文1、2行ほどのメッセージを綴る。その内容は何でも――旅の最中に何をしたか、発見したか、どうしているかと質問したり、別の旅行者からの挨拶を伝えたりと、思い浮かぶままでよい。書き終えたら紙を半分に折り、外側に「【自分の名前】から、【相手の名前】へ」と記す。他の人たちに書き終わったことがわかるよう、折った紙は三角に立てて置くといいだろう。

 全員が書き終えた、もしくは1分が経過したら、指定した相手にその紙を渡す。各プレイヤーは静かに自分宛てのメッセージを読む時間を取り、受け取った紙は大切に取っておく。全員が自分宛てのメッセージを読んだら、次の通信を書くことになる。

 この最初のメッセージより後の通信は、先に書かれたものよりも相手に届くまで時間がかかるかもしれない。あなたは再び誰にメッセージを送るかを決定する(最大でも1、2行しか書けないということを忘れないように)。あなたがまだ一度も通信を送っていない相手宛てに書く場合は、最初のメッセージと同様にする――通信記録の名前のそばにハッシュ記号を入れ、新たな用紙を取ってメッセージを綴って折り、外側に自分と相手の名を添え、全員のメッセージが送られたら、受け取った紙を開いて読む。

 すでに通信を送ったことのある相手――通信記録のハッシュ記号でわかる――を宛て先にした場合は、それが届くまでには時間がかかる。メッセージを書き、紙を折るのは同様だが、自分と相手の名前を外側に記す時に、相手の名前の横に、通信記録にあるその名前に付けられたハッシュ記号と同じ数のチェックボックス(□)も添える。それを終えたら通信記録に新たなハッシュ記号を追加し、メッセージを送る時は宛て先の人以外の誰かに渡すようにする。受け取った人はそれをそのまま取っておく。

(これは、誰かに送った最初のメッセージは直ちに届き、2つ目は1通信分が余計にかかり、3つ目は2通信分が……以下同様、となることを意味する。メッセージを送るたびに1通信分――1チェックボックス――の追加の時間がかかる)

 では、あなた宛てではない、宛て先の横に空欄のチェックボックスのあるメッセージを受け取った時はどうするのか? そのようなメッセージを受け取ったら、まず、そのボックスの1つにチェックを入れる。その後、自分の選んだ相手にメッセージを書き、宛て先の名前の横に適切な数のチェックボックスを添える――通信記録にハッシュ記号をつけるのを忘れないように。そして、あなたが今送ろうとしているものも含めて、目の前にあるすべてのメッセージを見る。そのメッセージに未チェックのボックスがない場合――その相手への最初の通信であるか、すべてのボックスがチェックされているか――は、宛て先に渡し、相手はそれを読む。メッセージに未チェックのボックスがある場合は、それが長く遠い旅の果て、最終的に宛て先へと届くまで、宛て先の人以外(できればそのメッセージを書いた人も除く)の誰かに渡さなくてはならない。

 メッセージを綴り、渡し、読む、の手順で12回か、それ以上の通信を繰り返す――時間にしておよそ15~20分が相応だろう。全員が最後のメッセージを送ることに同意した時、未だ宛て先に届いておらず、漂ったままの通信があることは避けられない。そこでしばしの間、新たなものを書くことなく、最後の通信が宛て先へと届くまで、受け取ったメッセージを回し続ける。届いた直後に、その最後の通信を読んではならない。そして――あなたはそれを持ち帰り、後で1人になった時に読む。


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【和訳】カレーの陣地 The Calais bunker


作者:Marc Majcher
出典:『Twenty Four Game Poems』収録、およびGizmet Game PoemsGame Poem 8http://gamepoems.gizmet.com/2010/03/game-poem-8-the-calais-bunker/
訳:django


 これは3人以上でプレイするゲームである。各人は、英仏間の最も狭い海、ドーバー海峡を臨む、仏側海岸を擁する港市カレーの警備・砲陣地に駐留するドイツ軍兵士に扮する。少なくとも1人のプレイヤーが機関銃に配置され、観測手――双眼鏡やその種の何かを用いる――1名、そして無線通信士1名と役割分担する。あなたたちはその役割と任務を熟知しており、職務を遂行するにあたっては有能で、全員が部署にふさわしい標準的な装備を帯びている。

 兵士たちの1人は、第三帝国に対する裏切り者である。誰がそうなのかは決定せず、プレイヤーはそれについていつでも議論できる。揉め事があった際には、それに応じて行動、反応を示すが、自身の扮するキャラクターから逸脱した対処をしてはならない。

 ゲームの開始は1944年6月初旬、占領下フランスの夏。陣の中はうんざりするほど暑い。軍服を着ているのははなはだ不快で、あなたたちは交代前の24時間にわたる警戒任務についている。時はしばし平穏に流れた。が、何か雲行きが怪しいと感じる。しかし、上官はそれが何ゆえであるのか、あなたたちに特に何も通達しない。

 無線通信士がタイマーをスタートするか、皆がプレイ中の経過時間に注意しておく必要がある。設定やキャラクターを確立する――互いに名前と階級を告げ、任務についての議論や噂話を軽く語り合う――のに1分ほどかける。あなたたちは着任から少なくとも数ヶ月をともに過ごしており、世間話をするのになんら障害はない。各プレイヤーの発言は事実として受け入れ、そこからあなたのキャラクターと、キャラクター相互の関係性を構築し、発展させていく。

 プレイ開始から1分30秒経過(1:30)、無線通信士は、担当区域に敵の動きあり、との報告を受けたことを告げる。あなたたちは警戒態勢を取り、さらなる通達を待つ。兵士は会話を続けることができるが、まだ何か行動を起こしてはならない。

 開始から4分経過(4:00)、通信士は、自軍のレーダーがパ・ド・カレー沿岸に接近する連合軍の大艦隊を捕捉した、と発表する。その正確な規模は不明。陣の兵士たちは敵上陸部隊との交戦準備に入る。

 あなたたちは会話を続け、状況に対して適切に行動、反応する。

 開始から9分15秒経過(9:15)、通信士は振り向いて仲間たちに、敵攻勢に関する詳細が届き始めた、と報告する。そしてそこで、無線機は突如、沈黙する。簡単な点検で送受信機は完全におしゃかだとわかる。そして、もはや修理できないことも。

 12分30秒経過(12:30)、送受信機は一時復旧し、無線通信士は、以下「 」内の語の空白(……)を補うかたちで文を作って伝える。「敵……な侵攻……」「……の卑劣な裏切り……」「……ドイ……の任務……」「…と交…」「……総員全力で……」、そして送受信機は火花を散らし、再び沈黙する。

 14分経過(14:00)、観測手は、海岸沿いの自軍砲台が発砲を開始したことを告げる。あなたたちは遠くに大砲の低い轟音を聞き、いったん動きを止める。

 15分経過(15:00)、機関銃座に配置されていた兵士の1人が、射程内の砂丘を登り、陣へと近づいてくる何かを確認する。

 そして各プレイヤーが、自分のキャラクターの発言、あるいは行動を1つずつ述べて、ゲームは終了する。


(※訳注 このゲームは第二次世界大戦における連合軍の「ノルマンディー上陸作戦」が背景である。予想された上陸ポイントはカレー、ノルマンディー、ルントシュテット。熾烈な外交・諜報戦によって、ドイツは英仏海峡の最短部であるパ・ド・カレーこそ主目標と認識するよう仕向けられていた。史実では、実際の上陸地点はノルマンディーである。また、当時の占領下フランスに配備された兵には、東方大隊 Ost Battalion 所属のドイツ以東の国の出身者、占領区域からの強制徴募等で士気も戦闘力も低い者も多かった。作戦前夜、カレー方面には警告が出され、守備の第十五軍は警戒態勢に入っている。しかし、ノルマンディー方面の第七軍にはなんの通達もなかった。名高いBBCラジオによる『秋の歌』放送による上陸開始の暗号合図、これもドイツは傍受していたにもかかわらず、結局、第七軍に警戒司令が発せられることはなかったのである。このゲームでは、カレーに連合軍は上陸したように見える。本当だろうか?)


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